今日はここ、ハーメンツの宿屋に三人の男女が来た。一人は、金髪で寝癖が酷く、
のばしまくり……なのだろうかの髪の毛をさわっている18〜20歳くらいの青年。
もう一人は、赤髪で髪の毛を結んでいる体型の良い20〜22歳くらいの女性。


そして、最後の一人は、


黒髪で短く、赤と黒の体型をはっきり見せる服を着ている少年らしい16〜18歳くらいの少女だ。


その少女はおそらく『女盗賊』としてセインガルド中に名を馳せているルーティ・カトレット。


おそらく、彼女で間違いないだろう。

「いらっしゃいませ。お泊まりですか?」
フロントに立っている少女、櫻井千紗はマニュアル通りにそう尋ねた。
おそらく、マニュアル敬語を使っているのだろう。

「えぇ。ウォルトっていう人の予約できたわ。早くその部屋へ通して」

「ウォルト様、でよろしいんですね? では二階の一番右端の部屋へどうぞ」
千紗はそう言い鍵を確認して渡した。

翌日。

千紗は朝五時頃から仕事に追われていた。

本日チェックアウトする人のリストの確認、料理もしているので本日のメニューと材料の確認。
本日チェックインする予約客の確認など、彼女は息を切らして仕事に取りかかっていた。


「ルーティ・カトレットさん! あなたのせいで、この宿屋が兵士に囲まれているんですけど!
どういうことをしたらあんなふうになるんですか! どうにかして下さい!」

千紗はそう言うと護身用の剣とナイフをとって外に出た。

でも、彼女がねらいを定めて護身用のミニナイフを投げる前に、昨夜一番遅くに来たお客さんの
男女三人が宿屋から出てきた。


「ルーティは覚えがないそうだ。何かの間違いじゃないか!?」

金髪の青年がそう叫ぶ。その時、ルーティが剣の柄に手をかけ敵に突進していった。
その後ろから残りの二人も続いていく。

兵士達の断末魔のような叫びがあがる。


その時、一人の少年が入ってきた。

「セインガルド王国客員剣士、リオン・マグナスだ」
彼は三人の男女の前に行くと叫んでいる青年の前に立ち、
「おい、お前。さっきからギャアギャアと、どこの馬鹿だ」
「馬鹿じゃない!スタン・エルロンだ!」

――本当にうるさい……。こんなんじゃ私何もできない……。

「ふんっ!」
千紗はそぶりも見せずナイフを投げた。
彼女のナイフの腕は百発百中と言っても良いくらい凄く、スタンと名乗った青年の足首に
しっかりと刺さっていた。

「下衆っ!!!」
「リオン! 千紗だけど……」

(……やはりあのときの千紗とは違う……)

「ここは僕がやるっ! 千紗、お前は下がっていろ!!!」

彼が剣を抜くと、ルーティの顔からさっと血の気が引いた。
彼が持っていたのはソーディアン。ルーティとは違うが種類は一緒だ。

彼女が剣を抜くと、剣もまた驚いて、
『シャルティエじゃない!!! 私よ、アトワイトよ!』
ともったいぶらず声を上げ、ルーティに五月蝿いと一言言われていた。


リオンと言う少年が剣をルーティの心臓めがけて突き出したが、すんでの所で止められ彼女が反撃に出ようとする。
だが、リオンの方が一手早く、空襲剣でルーティとスタンが持ち上げられた。

「…塵も残さんっ! 奥義! 浄破滅焼闇。闇の炎に抱かれて消えろっ!」

「うわぁぁぁぁ」
「きゃぁぁぁぁ」

三人が同時に叫んだ。


後に残ったのはソーディアンの声だけであった……。





「おい! こいつらをダリルシェイドへ連行しろ! 馬鹿者が」

「私も、行かなくちゃ……。客員剣士・千紗としての責務を果たすために……」

彼らは、ルーティとスタンともう一人の女性を引っ張ってダリルシェイドの地下牢につっこんだ。

「お尋ね者の盗賊を捕まえました。今は、地下牢に入れてあります」

王に報告をして、何時間が過ぎただろうか。

城を出たのは午前九時頃だったから今は、午後3時頃のはずだ。


「おい、お前ら、外に出ろ」



「ちょっと、あたし達をどうする気?」

ルーティの悪態が聞こえてきた。
だが、それに答えず国王陛下の御前に連れて行った。